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活動報告
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千葉県議会議員 三沢さとし |
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アメリカ行政調査報告書 (令和二年3月)千葉県議会アメリカ行政視察団 |
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◆調査概要及び調査目的
今回の千葉県議会アメリカ行政調査では、各会派から推薦された県議会議員15名により、本年1月20日~1月26
日までの7日間、アメリカ合衆国においてICT利活用の推進、防災対策、外国人観光客の誘致、進出企業の支援など
の調査を実施し、本県の経済活性化、防災力の向上など、今後の県政発展に資することを目的としております。
数多くの調査を実施しましたが、私は防災対策に関する二つの調査を報告いたします。
1)ロスアンゼルス市緊急事態対策局
2)サンノゼ市危機管理局
◆ロスアンゼルス市緊急事態対策局
①日時 :2020年1月22日(水)10:00~11:00
②調査事項:本県では、災害発生時の関係機関との連携等において課題があることから、防災対策や関係機関との
連携体制の強化等に取り組んでいる当該対策局で調査し、防災力向上に資する。
③調査概要:防災計画や訓練等
ロスアンゼルス市緊急事態対策局には約30名の職員が勤務し、近況時に様々な機関と調整し、対応
をまとめる役割を担っている。ロスアンゼルス市は面積が約500平方マイル、人口が約400万人であり、
全米第2の規模の大都市で、市役所には当局を含め49の部署がある。
当局では緊急時に49の部署が協力してスムーズに対応できるように調整している。
緊急時に滞りなく対応するためには、災害が発生する前に準備をしておくことが重要である。
まず、計画立案から始め、様々な災害に対応するため、様々な想定のもと、何をすべきか手順を決めた
100以上の計画を策定している。
ロスアンゼルス市は地震、山火事、洪水、テロ、サイバー攻撃や津波等、様々な災害が発生する可能性
があることから、災害に応じた計画を策定して準備している。
計画を策定したら終わりではなく、防災対策は刻一刻と変化しているので、常に計画した内容を変えて
いく必要がある。当局は、計画に関係する各部局と連携、最新の計画に更新していく役割も担っている。
訓練は、毎年15~20近くの訓練や講習を行っており、年に1度、地震やテロ等のテーマを設定した大
規模な訓練を行なている。今年度はテロ対策をテーマにして行った。また、オペレーションセンターなど当局
が使用している施設や機器のメンテナンスを行うという役割も担っている。
訓練や講習の実施にあたっては、他の行政機関の訓練等の実施時期を踏まえながら計画を立てている。
例えば、国や州の訓練等は実施しており、全て受講すると修了証書がもらえる。そのため、当局では
国や州の訓練等を受講した後のレベルに合わせた訓練等を計画するなど、事前に他の行政機関の情報
情報収集をしながら訓練計画を立てている。
地域への防災教育を行っている。災害時になると対策本部では、様々な対応が求められ、全てのことに
対応するすることができなくなる。そのため、地域住民、学校や会社など、それぞれの人たちが災害時に
取るべき行動について訓練するため、専門の職員を雇い、地域防災力jの向上に資する防災教育を行
っている。
:関係機関との連携体制
次に、様々な機関と連携して共に対応していく必要があるため、他の行政機関との連絡調整やネット
ワークづくりを行っている。カルフォルニア州には多くの郡があり、郡のなかにも多くの市があるため、それぞれの
緊急対策部門と連携する必要がある。
他の機関と連携した事例では、昨年、ロスアンゼルス市内で大きな山火事が発生した際、本市の消防局
だけでは対応しきれず、ロスアンゼルス郡の他の市や、他の郡、カルフォルニア州の消防組織から消防車等
を派遣してもらった。
市だけでは対応できないこともあるため、常に他の関係団体と連携して対応できるように準備しておく必要
がある。一方、ロスアンゼルス市から他の自治体の災害に出動する場合もあり、最近ではオーストラリアの
大規模な山火事に市や郡の消防隊が出動した。
:災害時の対応
ロスアンゼルス市緊急事態対策局は、当局のほかに、消防署や警察署と建物を共有して使用している。
3つの組織が同じ建物に入居しているため、毎日連絡を取り合いながら常時連携して災害に対応できる
ようにしている。
当局では、主に市内における災害の情報収集や、その対応等を指令する役割を担っており、災害発生
時には約60分から90分でチームを立ちあげ出動できるようにしている。
また、災害ではないが、例えばロスアンゼルスマラソンのように、事前に人が多く集まると分かっているイベント
などについては警備等の対応をする。
ワークステーションという部屋があり、机がチームごとに分かれている。これはそれぞれの役割ごとにグループ
分けされており、警察署と連携をとるグループ、交通局と連携をとるグループ、電気や水道等の企業等と
連携をとるグループなどが存在する。
災害時で緊急事態とは言え、いくらでもお金を使っていいわけではないので、財務担当者を配置して支出
の記録をしている。記録をしておけば後日、政府から補助金が交付される際にも役に立つことから重要な
役割である
その他にも災害発生時にどこで何が起きているか、最新情報を収集し地図化することで、現状を分かりや
やすくしているグループもある。
ここでは、それぞれのグループに届く情報を各グループと連携をとりながら調整を行っている。
例えば、警察署の通信機器が不足していると連絡が入れば、警察と連携しているグループが物流グルー
プと調整を行い連携しながら問題を解決している。
ワークステーションでは、すぐに誰がどの担当か分かるように、例えば緑色は財務担当等、それぞれの担当
担当に応じて、色の異なるベストを着て対応している。黄土色のベストがあるが、これはロスアンゼルス空港
等、他の組織から来る人が着用するベストになっている。
今は誰もいないが緊急事態発生時には、関係する部署の人たちが90分以内に集まり、12時間シフトの
24時間体制で対応している。
この建物は何があっても耐えられるような耐震性になっており、停電対応として自家発電機を所有してる。
:主な質疑応答
問)他の関係機関とは、どのように連携しているのか。
答)災害が起きてから連携していては機能しないので、事前に関係を築き訓練をして準備している。
緊急対策は常に準備をする必要がある。
問)千葉県では昨年大規模な台風の被害に遭い、他の自治体が停電したことにより、本県に情報が
入ってこない状況が続いた。このような想定外の事態に対しては、どのように対応しているのか。
答)そのような場合、全ての自治体に自家発電機を備えるような体制をとるよう指示するしかないと思う。
自家発電機以外では、最近ソーラー電気もあるので、そのようなものも有効であると思う。
やはり災害時には自給自足ができるような体制にしておかなければならないと思う。
問)災害時は行政だけでなく、住民の一人ひとりの備えや対応が重要になると思うが、ロスアンゼルス市
緊急事態対策局では、住民の防災力を向上させるために、どのような取り組みをしているのか。
答)1つはロスアンゼルス市消防局が行っている自主防災組織「サートプログラム」がある。
そして当局が行っている取組では、災害発生時に最低1週間は住民自ら生きていけるようにするた
め、必要な物資や災害時の行動等を各地域の代表者に資料を渡し、その地域の住民に指導して
もらっている。
問)本県では昨年の台風被害により課題がいくつも浮き彫りとなったが、ロスアンゼルス市緊急事態対策
局で課題となっていることはないのか。
答)最近、ロスアンゼルス市ではホームレスが約4万人おり、大きな社会問題となっている。大災害が発生
した際に、この人たちをどのように守るのかが課題となり、対策本部の部署を設定した。
問)大規模な災害では、軍からの支援もあるのか。
答)軍が関わることはあまりないが、支援が必要な時に依頼することはできる。しかし災害時に支援を依
頼する場合、まずは郡、州、政府に依頼し、それでも対応できない際は最後の手段として軍に依頼
することになる。
軍へ依頼することは少ないが、事前の準備は必要なので、年1回だけではあるが、軍の方と災害支
援時の対応について会議を行っている。
問)昨年、ロスアンゼルスで山火事があったと思うが、その際も軍への支援依頼はしなかったのか。
答)昨年の山火事は軍に援助を依頼するほどの規模ではなかった。しかし、カルフォルニア州に消防
組織があって、そこの消防隊員が数百人が支援に来てくれた。
通常、ロスアンゼルス市の消防局が主導して対応するが、その際はカルフォルニア州の消防局が主導
権を握って援助してくれた。
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